
「ボーナスの給与化」は年間のボーナスを12等分して給与として
合算支給するという意味です。
経営側にとっては、ボーナスのように業績を見て支給するといった、
後出しじゃんけんが出来なくなります。
ボーナスの給与化による会社のメリットとデメリット
賞与を月給に組み込むことで、求人を行うときに給与支給額が増えるので、
協業企業との人材獲得の競争力が増すことが考えられます。
賞与引当金から戻して給与に振り替えるだけなので、
方法が決まってしまうと、経理的な手間は大きく変わることはありません。
また、某ナース分基本給に組み入れてしまうと、給与を基礎数字として計算する、各種手当などが増加してしまうことを防ぐ必要性が生まれてきます。
その対策として、一時的に基本給以外に「制度移行調整金」といった名前の、
特別移行期間調整項目や「加給」に賞与に該当する給与として移すことで、
企業の資金繰りや、財務内容への影響を緩やかにすることは、
経営上必要な措置と考えられます。
暫定措置を講じておく必要が生まれる
そういった措置は一時的な緊急避難策としての暫定措置として有効ですが、
3年程度を目処に少しずつ基本給に移してくことが必要です。
そして何よりも、ボーナスを給与として合算支給することによって、
ボーナスという概念が払拭され、薄れていくことで年俸化などの、
人事評価制度と給与制度がつなげられやすくなります。
また、年俸制に移行しやすくなります。
会社の注意点としては、継続的な制度として定着させるためには移行措置を講じておくべきです。
例えば、移行措置として設けた、ボーナス分の調整金や加給を、
毎年1/3ずつ基本給部分に移していくなどの措置を講じることで、経営も安定しますし、
従業員から経営者が信頼を失ってしまうことが起こりにくくなります。
経営者は、この辺りを対策することが重要なポイントとなるように思います。
ボーナスの給与化による従業員のメリットとデメリット

サラリーマンのボーナスは、昭和の時代から生活給的な側面があります
そして、ボーナスに特別感を感じる場合は、想定より支給額が多かった場合ではないでしょうか。
そして、ボーナス支給額が自分の想定以下だった場合には、
ボーナスの特別感が打ち消されてしまうので、
給料の一部に埋没してしまいます。
それが原因で、ボーナスの特別感が失われて、生活給になってしまいます。
現在でも、支給額が少ない場合、たとえばボーナスの支給額が、
給与の一ヶ月分程度だとそのような感覚になってしまうのは、
昭和や平成の時代と何ら変わることはないでしょう。
その上に、日本がバブル崩壊以降の30年間も続いている不況の中にあって、
企業が従業員のボーナスの一部や全額をカットすることが度々起こり始めました。
そういったときの経営者の言葉として急に聞くようになったことは、
「ボーナスは会社の業績に応じて支給するもの」だから。
といった表現です。
ボーナスは給与に統合されるので完全に生活給化する
ボーナスは少なくとも生活給という位置づけだったはずなのに、それを撤廃し、
思い出したように従業員の懐に手を入れてきた感覚すらあります。
利益の分配を従業員よりも株主が優先される社会の風潮が、
そういったことを後押していることは事実です。
長く続いている不況によって、賞与引当金を戻して、利益に振り替えてしまうといったことが
普通に行われてしまうような風潮になってしまいました。
そういったことが原因で、授業員のボーナスへの信頼感が薄れ、
あてにすると、はしごを外されかねない、
つまり当てにしていたのに当てが外れてしまうといった、
マイナスの印象がつきまとうようになりました。
住宅ローンや自動車ローンを利用する上で、
ボーナス月の支払額を増やすことが出来にくくなってしまったことが挙げられます。
そういった不安定なボーナスであれば、従業員とすれば、
ボーナス分を給与に含めて毎月貰える方が、
転職する場合などに退職するタイミングをボーナス支給月の翌月などとする、
といった調整が必要なくなります。
しかし、一方では、給与支給額を計算の根拠としている、
社会保険料などの負担が増加することが考えられます。
もうひとつは、ボーナス分とこれまでの給与分の区別が年を追うごとに、
希薄になるので、それを会社が利用することで、
給与支給額の伸びが抑えられてしまいかねない一面があります。